■入替え作業とは?
当社では、月2回(冬季は月1回)、破損コンテナを修理工場内に入れる作業を行っており、この作業を「入替え作業」と呼んでいます。
入替え作業を行うタイミングは、月末と月の中間日、技術者全員で行います。
この入替え作業により、修理作業半月分の破損コンテナが工場内に入ることになります。
■なぜ、半月分の破損コンテナをまとめて工場内に入れるのか?
主な目的は、破損コンテナを乾かすためです。
当社ではスチールコンテナを溶接するためにアーク溶接を使っていますが、コンテナが雨や雪で濡れていると、その水分が革手袋にも浸透し感電しやすい状況になります。
この感電のリスクを低減するため、事前に工場内に破損コンテナを入れて乾燥させています。
■なぜ、技術者全員で行うのか?
①積み替える作業があり、人手が必要
カルビーポテト社様及び当社では、
・大枠の1山は、底板1枚+大枠16枚
・小枠の1山は、底板1枚+小枠25枚
と定めています。
修理後のコンテナはこの枚数に合わせて1山を積み上げて納品します。
ところが、破損コンテナは必ずしもこの1山の枚数で積まれていないことが有るため、1山の枚数を大枠16枚・小枠25枚に合わせるよう積み合わせを行います。
また、カルビーポテト社様のコンテナは色ごとに利用場所が別れています。
例えば、青は芽室町方面、赤は帯広市方面などです。
この色による種類分けがとても多く、大コンテナだけでも10種類以上に分かれています。
このコンテナの色分けも、破損コンテナ1山の中に異なる色のコンテナが混じっていると、同じ色のコンテナ同士をまとめる積み替え作業が発生します。
②破損の状態による技術者の不公平感を最小化する
ある技術者に重度の破損コンテナが集中し、別の技術者には軽度の破損コンテナが集中すると、不公平になります。
各技術者になるべく同じ様な破損状態のコンテナを振り分けし、不平等が出ないようにしています。
■入替え前と入替え後
工場内には破損コンテナが無い。
新たに破損コンテナを工場内に入れた状態。
■1回の入替え作業でどれくらいの数の破損コンテナを工場内にいれるのか?
このテーマを考える上でポイントとなるのは、「技術者1人が1日で修理する量の目安がどれくらいか?」です。
この数に、技術者の数と作業日数を乗算すると、入替え時の破損コンテナ数が算出できます。
当社における技術者1人が1日で修理する量の基準は「小枠換算で34枚」を目安としています。
(技術者により個人差は多少ありますし、破損コンテナの破損状況によっても変わります。)
【小枠換算とは】
小枠換算とは、小枠1枚修理数を1枚と数え、大枠や底板だと小枠何枚分の仕事量かを規定した単位です。
大枠の場合、大枠1枚修理するには、小枠1.5枚修理するのと同等。
底板の場合、底板1枚修理するには、小枠2.0枚修理するのと同等。
と定めました。
厳密に考えるとこの数値は少し違うと思われる修理技術者の方も居るでしょうが、ひとつの目安としては良い考え方だと思います。
※この、『小枠換算』の基本的な考え方は、カルビーポテト社ご担当者の発案によるものです。
コンテナ1基(組)を小枠換算で表すと、
底板1枚(小枠換算2✕1枚=2枚)
大枠2枚(小枠換算1.5✕2枚=3枚)
小枠2枚(小枠換算1✕2枚=2枚)
小枠換算合計:2+3+2=7枚
コンテナ1基は小枠換算7枚となります。
1日で小枠換算34枚を修理できるとすると、
コンテナの基数では 34÷7≒4.9基で 1日で約5基修理できると言えます。
以前、コンテナ修理技術者の人材募集した時、コンテナ修理の経験者が応募して来たことがありましたが、その方は経験15年のベテランで「1日10基以上修理している」とのことでした。
ところが、試しに当社で実際に修理してみると「1日1基」しか修理できませんでした。
その方の組織(某農協の外注会社さん)では、1シーズン使用したコンテナを次のシーズンが来る前に修理するのですが、コンテナは1基単位で管理していて、実際には壊れていないコンテナもその「10基修理した」中に数えていることが判明しました。
この方の修理内容を正しく表現するのであれば、
「1日10基以上のコンテナを破損しているか否か確認しています。そのうち破損箇所を修理するのは1割り程度で1基くらい修理しています。」
となります。
※ちなみに、この方は、あまりにも生産性や修理品質に当社の技術者と差が有り過ぎたので、残念ながら採用は見送らせて頂きました。
当社が扱う破損コンテナは全品破損です。
カルビーポテト社様側で事前に破損と良品の仕分けを行っており、破損コンテナのみが当社の工場に送られてきます。
【結論:工場内に入れるコンテナ数】
1日小枠換算34枚。
半月の作業日数10日。
1人の技術者に対して、34枚✕10日=340枚。
2018年5月現在で5名の技術者がおりますので、工場全体としては、
340枚✕5人=1700枚(半月)です。
1ヶ月だと、3400枚が当社修理工場の標準修理生産性になります。
実際は、お客さまの年間予算もありますので、ご予算に合わせて修理枚数は前後します。
author : S.Takahashi